いまだから知っておきたい!派遣法3年ルールについて徹底解説

派遣法3年ルールについて詳しく解説しました。5年ルールとの違いも分かります。

派遣法3年ルールとは

派遣法3年ルールは、2015年9月に労働者派遣法の改正により適用されたルールです。
「3年ルール」とは、”有期雇用派遣社員が同じ組織で働ける期間を最大3年に制限する”という派遣法の通称です。
簡単に言えば、2024年4月1日から働き始めた場合、派遣期間は2027年3月31日までとなり、
派遣期間が終了した翌日2027年4月1日は「抵触日」と呼ばれています。

この3年ルールの期限は、個人単位の考え方と事業所単位の考え方があるので、順番に解説していきます!

個人単位

個人単位の場合は、一人の派遣社員が同一の事業所や部署で働ける期間は3年までです!

個人単位の派遣可能期間の考え方は、所属する課やグループなどの組織単位で判断されます。
たとえば、同じ派遣社員は、同じ会社内で営業課に3年を超えて所属はできませんが、
営業課から総務課に所属先が変われば、同一事務所ではないので、新たに3年間の勤務ができます。

派遣法には個人単位、事業所単位の決まりがあり、ここでは派遣法3年ルールの個人単位を図で解説しています。

事業所単位

事業所単位の場合も、同じ組織単位(課など)で同じ派遣元の派遣労働者が、勤務できる上限は原則3年です。
事業所」とは雇用保険の適用事業所と同じ考え方で、下記の内容に沿っています。

  1. 工場や事務所、店舗などの場所がほかの事業所から独立していること
  2. 人事、経理、指導監督、働き方などが経営単位としてある程度独立していること
  3. 工場、事務所、店舗などは、一定期間継続する施設であること

などと、決められています。

例えば、すでに同じ派遣元の派遣労働者が先に1年前から働いている事業所で、
自分が新たに派遣労働者として働き始める場合は、自身が働ける期間は後2年です。

ただし、あとから勤務を開始し、3年より短い派遣期間で勤務が終了してしまう場合において、
その派遣先で継続を希望する際は、抵触日の1か月前までに「派遣先企業の労働者の過半数で組織される労働組合か、
あるいはその代表者」から意見を聴き許可されれば、上限3年を期限として延長することができます。

※事業所単位の期間制限は、個人単位よりも優先されます!

派遣法には個人単位、事業所単位の決まりがあり、ここでは派遣法3年ルールの事業所単位を図で解説しています。

抵触日とは

抵触日とは「派遣期間の制限を過ぎた最初の日」のことを言います。
原則、同一事業所で3年を超えて働くことはできないため、派遣先に受け入れられた日から3年経過した翌日が抵触日となります。
抵触日よりも前に派遣より通知がありますが、抵触日を迎えても同じ職場で働いてしまうと、違法になるのでもしものために覚えておくと良いでしょう。
抵触日が設けられた理由には、安定した雇用の推進をするためと言われています。

※派遣先は抵触日を人材派遣会社(派遣元)に対し事前に通知する義務があります。

派遣法3年ルールでは抵触日が決められています。抵触日とはなにかを解説しています。

派遣に3年ルールがあるのはなぜ?

なぜ、派遣の3年ルールができたのでしょうか?
それは、雇用の安定やキャリアアップを目的としています。

本来、派遣社員を雇う目的は、企業の繁忙期の一時的な人手不足の補填のためでした。
また以前は、派遣社員として雇用ができる業種は、ソフトウェア開発や事務機器操作といった専門的なスキルを必要とする26種類のみに限定されていたのです。

しかし、雇用できる業種の緩和に伴い、派遣の需要が一気に拡大しましたが、
その結果、人件費削減を目的に派遣社員を雇い、正社員と同じ内容の業務をおこなわせるという状況ができています。
その状況は、本来の派遣の目的とは異なりますし、派遣社員の雇用も安定しない状態になってしまいました。

派遣社員を3年間も受け入れる企業は、そもそも慢性的に人手不足ではないでしょうか?
慢性的な人手不足あのであれば、そもそも必要なのは、正社員です。
なので、3年ルールにより派遣社員の雇用を本来の目的へ戻すことと、労働者の安定した雇用を推進するために、働ける期間が設けられました。

では実際に、3年ルールで働く場合のメリット・デメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう!

3年ルールのメリット

直接雇用や無期雇用してもらえる可能性がある

同じ企業で3年以上働けないため、派遣先企業から直接雇用される可能性が上がります!

派遣先から仕事を評価してもらえれば、直接雇用してもらえる可能性があり、派遣社員として働いていのであれば、
派遣先も再教育の必要がなく、採用コストもかからないため、派遣先にとってのメリットも大きいでしょう。
ただし、社員雇用とは限らないので、注意が必要です。

また、無期雇用は派遣元企業と無期雇用契約を結ぶことです。
直接雇用・無期雇用により、3年以上であっても同じ場所で働くことができ、雇用の安定につながります。

派遣法3年で3年が経過した場合、直接雇用、無期雇用にて雇用形態が変わることがあります。メリット、デメリットを押さえながら3年後のことも見据えましょう。

キャリアアップの機会が得られる

3年後に同じ会社で他の部署の業務経験を得られれば、さらにスキルアップできる可能性があります。
同じ会社で将来的な無期雇用・社員雇用が難しい場合であっても、経験やスキルを活かして他社への転職によるキャリアアップを目指すチャンスが得られます。

派遣法3年ルールでは、3年ごとに移動しなければなりません。ただし、色んな仕事の業務経験を積むことで、キャリアアップの機会が得られます。

メリットは理解できましたか?
続いては、デメリットの解説です!

同一の職場で3年以上働けない

派遣先企業に無期雇用派遣として採用されている場合は、期限はありませんが、派遣元の会社に有期雇用されている場合は、3年ごとに職場を変更しなければなりません。

3年以内に契約を解除される可能性がある

一般的に、派遣社員は3か月や6か月単位で雇用の更新手続きが行われます。
そのため、企業が契約の更新を検討する際に、人員の調整や仕事の成果など様々な理由から契約の更新が行われず、3年以内に契約を解除する可能性も考えられます。

人材の入れ替わりを負担に考える企業がある一方で、コスト面などの問題から、有期雇用派遣を人材確保の手段のひとつとして選択している企業も存在します。
そういった派遣先では直接雇用には結びつかない可能性があります。

では、3年以上経っても同じ派遣先で働きたいと思った時に、働ける方法はあるのでしょうか?
その方法を以下にご紹介します!

同じ派遣先で3年以上働く方法

部署を移動する

実は、3年が経過したときに同じ派遣先事業所であっても、部署や課を異動すれば、同じ勤務先でまた3年間働けます。
例えば、A社の人事課で3年間派遣されていた場合、同一の派遣社員について3年間、継続してA社の会計課で派遣社員として働くことが可能です。

無期雇用に変更する

無期雇用派遣の契約を派遣元の会社と結びます。
無期雇用の派遣社員の場合、3年ルールが適用されませんので派遣先では期間制限を受けず働くことができます。
ただし、派遣元の会社が無期雇用契約を行っていない場合がありますので、注意が必要です。

直接雇用してもらう

派遣先の会社や法人に直接雇用してもらえば、同じ職場で働き続けることができます。
派遣先から今後も継続して働いてほしいという要望があり、自身でもこのまま仕事を続けたいという希望があれば、直接雇用を結ぶことが可能です。
ただし、直接雇用であっても「正社員」や「無期雇用」とは限らないので、希望条件に合うかを確認しておくことが大切です。

※雇用は、正社員だけでなく、契約社員やパートタイムなども考えられます。

以上が、同じ派遣先で3年以上働く方法ですが、そもそも3年ルールが適用されないケースもありますのでこちらも押さえておきましょう!

3年ルールが適用されないケース

派遣法の3年ルールが例外となるケースは下記の5点です。

年齢が60歳以上の場合

派遣社員として働いて3年が経過した時点で、年齢が60歳以上になる場合、派遣法の3年ルールの対象外です。

60歳以上になっても派遣先が、雇用の継続を希望すれば、同じ職場で働き続けることができます。

有期プロジェクトに派遣されている場合

終わりが決まっているプロジェクトの業務を行う派遣社員も3年ルールの対象外となります。

この有期プロジェクトに該当するのは、「事業の開始、転換、拡大、縮小のためであり、3年以内の完了が見込まれる業務」です。

日数限定業務に従事している場合

日数限定の業務に従事する派遣社員には、3年ルールが適用されません。

該当するのは1か月の勤務日数が常勤の職員の半分以下かつ10日以下である場合です。

産休・育休・介護休業の代替業務に派遣されている場合

産前産後休業や育児休業、介護休業などを取得する人が担当していた業務を行う場合も3年ルールの対象外です。

休業制度を利用する職員の割役を担う目的で雇用されるため、例外になります。

派遣元で無期雇用されている場合

派遣会社と無期雇用派遣の契約を結んでいる場合には、派遣法3年ルールの対象外です。

前にも出てきているのでお気づきかと思いますが、派遣会社に常時雇用される契約をしている場合、
有期雇用派遣とは異なるため、3年ルールが適用されません。

※無期雇用とは、期間の定めのない雇用契約のことで、いわゆる正社員に該当します。

3年ルールが適用されない事例も理解できたでしょうか?
次は、3年ルールと合わせてよく耳にする、5年ルールの違いについてお伝えしていきます。

5年ルールとはどう違う?

平成 25年4月1日に改正労働契約法が施行され、無期転換ルールが規定されました。これがいわゆる「5年ルール」と呼ばれるものです。

パートやアルバイトなどを含めた有期雇用契約者が同一の事業所で5年以上勤務している場合、
有期雇用契約者からの申し込みによって無期雇用契約の雇用形態に切り替える請求ができる制度です。
企業側はこれを拒むことができません。

3年ルールはあくまで派遣社員のみの対象ですが、5年ルールは派遣社員だけでなくパートやアルバイトなども対象となります。

この5年ルールによって、5年以上同じ派遣会社で派遣社員として働いている場合に、申し込みをすることによって、
無期雇用派遣社員になることができます。
また、同一派遣先企業で5年以上働けば、派遣先企業で無期雇用契約社員になれる権利も発生します。

3年ルールと5年ルールの違いは、

  • 3年ルールは派遣社員のみの対象
  • 5年ルールはパート・アルバイトなども対象
  • 5年ルールで、有期契約者が申請した場合、雇用側は必ず受理する必要がある

この3点です。
そもそもの内容が違うので、正しく理解しておきましょう!

派遣法3年ルールを理解して、3年後以降のライフプランに合わせた
キャリア設計を考えましょう

以上が、派遣法3年ルールについての解説でした。
派遣法3年ルールは、有期雇用派遣を対象としており、同じ職場で派遣労働者として働ける期間に3年という上限があります。
なので、3年後には必ず職場や働く企業、雇用形態、働き方などが変わることになります。
3年ルールができた背景には、派遣労働者の雇用の安定と待遇の改善を図るためです。

企業との直接雇用のチャンスがあるというメリットもありますが一定のデメリットもあるため
これから有期派遣社員として働く人は、3年後はどのように働くのかも考えながら、派遣先を決めるようにしましょう。
派遣先の相談は、ジャパンサポートへお問い合わせくださいね!