履歴書に派遣で働いた期間を書く時のポイントなどを解説します。
履歴書と職務経歴書の違い
まず初めに、履歴書と職務経歴書、それぞれでアピールできる内容が変わることは意識したことはありますか?
違いを確認してみましょう!
履歴書とは?
履歴書は、職務経歴書より提出を求められることが多いでしょう。
履歴書は、その人の学歴や職歴という実績だけでなく、志望動機・趣味・特技など、パーソナルな部分を書くことができ、
応募者である自分の「人となり」を把握してもらうプロフィールとしての役割をもっています。
書類選考や面接などでは、学歴、職歴もさることながら、この部分も選考者はかなり注視して見ます。
職務経歴書と違って、ある程度の基本フォーマットがあり、その項目に沿って記入します。(氏名や住所、学歴・職歴、保有資格、趣味・特技など)
その際に、学歴は正式名称で高等学校の入学以降から書き始めましょう。
また、企業側からすると、履歴書は応募者の概要を掴むための書類です。職場まで通勤可能な場所に住んでいるか、
募集要件と本人の希望が合致しているかも確認されるポイントです。
職務経歴書とは?
職務経歴書は、これまで担当してきた職務でどういった経験・スキルを身につけてきたのか、応募先でどういった能力を発揮できるかという職歴や、スキルに特化した書類です。
決まったフォーマットはありませんが、職歴のほかに業務内容、保有資格、成果、自己PRなどを、A4用紙1〜3枚程度にまとめます。
どのくらいの期間、どのような業務に取り組み、どのような成果を挙げたかなど、これまでの経験と実績を分かりやすく記入します。
また、自己PRには、応募先企業で活かせる経験やスキル、自らの長所やセールスポイントを記入します。
企業側では、職務経歴書は具体的に働く姿をイメージできるよう、具体的なスキル・経験を知るための書類という違いがあります。
では、違いを把握したところで、次は具体的な書き方を見ていきましょう!
派遣期間の履歴書の書き方
派遣元、派遣先、を記入する
まず、派遣社員として働いていた期間がある場合は、登録した「派遣元」の派遣会社と、実務を行っていた「派遣先」の企業を記入していきます。
派遣社員は正社員のような直接雇用ではなく、複数の会社と関わるため可能性があるため「どこの派遣会社から」「どこの企業に」派遣されたのかをわかるようにしておく必要があります。
また、派遣先の企業での「業務内容」も明記しましょう。履歴書の職歴欄はスペースが限られているため、業務内容は簡潔にまとめるのがベストです。
入社は就業、退社は派遣期間満了と書く
一般的には会社で働き始めることを「入社」と表現しますが、派遣社員の場合は派遣会社の正社員ではないため
「入社」「退職」とは書かず「就業」や「就業開始」と記載するのが正しい書き方なので、覚えておきましょう!
理由は、派遣社員は企業に「登録」して、派遣された企業で働いている期間のみ派遣先の会社に雇われているのため、派遣元の会社では「登録」となり、
そして派遣先企業では、「就職」ではなく「就業」となります。
また派遣期間が終わるときも、「退職(退社)」ではなく「任期満了のため退職」と表現します。
ただし、契約期間を満了する前に自己都合で辞めた場合は「一身上の都合により退職」と記入しましょう。
覚えておくとよいでしょう。
職務経歴に業務内容を記載する
どこの派遣会社に登録して、どの企業に派遣されたのかを記載する以外に、どの部署で勤務したか仕事内容がわかる項目も書いておくと、より丁寧な印象です。
ただし、派遣社員として働いていると、派遣先が1年間や半年間で派遣先が変わることもあります。派遣社員としてのキャリアが長かったり、詳しく業務内容を書いていくと、すぐに学歴・職歴欄が埋まってしまいます。なので簡潔に分かりやすく記載しましょう。
また、正社員での経験がある場合は、正社員の職務経歴を丁寧に書く方がベストです。
その理由は、詳しく次でご説明します!
正社員と派遣社員の経験がある場合
正社員として働いた期間がある場合ですが、その場合は、正社員としての職歴を優先してスペースを確保し、丁寧に書くことを心がけましょう。
なぜなら、採用担当者は、派遣社員としての職歴よりも、正社員としての職歴を重視する傾向があるからです。
ただし、正社員としての職歴を優先しようとして、派遣社員としての職歴そのものを省略してはいけません。
省略を行うとその期間がブランクとなり、採用担当者は働いていない期間があると判断される恐れがあるほか、最悪の場合、未記入による経歴の詐称と判断されてしまう可能性もあります。
スペースが足りないときは、省略ではなく、いかに正しく、コンパクトにまとめるかを考えましょう!
履歴書の「派遣元」「派遣先」の書き方ポイント
では、迷いやすい「派遣元」と「派遣先」の書き方のポイントです。
派遣社員としてのキャリアが長いと派遣期間が短く複数になってきた場合に書き方が複雑になってきます。
以下の基本の3つを抑えていれば、次に書く際に迷わなくてすむので、ぜひ覚えてくださいね!
派遣元と派遣先が1つずつの場合
派遣元と派遣先が1つずつのときは次のように記入します。
(派遣元がジャパンサポート、派遣先が株式会社A社であった場合。)
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
2024 | 1 | 株式会社ジャパンサポート(派遣元の会社名)に派遣登録 |
2 | 株式会社A社にて派遣スタッフとして就業 | |
経理部にて、経費清算業務、給与計算業務補助を担当 | ||
2024 | 12 | 派遣期間満了につき退職 |
派遣元が1つ、派遣先が複数の場合
派遣元の会社は1社、複数の派遣先で就業した場合は、下記ように記入します。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
2024 | 1 | 株式会社ジャパンサポート(派遣元の会社名)に派遣登録 |
2 | 株式会社A社に経理事務として派遣 (2024年 12月まで) | |
2025 | 2 | 株式会社B社に一般事務として派遣 (2025年 12月まで) |
2026 | 8 | 株式会社C社に一般事務として派遣 (2026年 6月まで) |
2027 | 7 | 派遣期間満了につき退職 |
派遣元と派遣先が複数の場合
登録した派遣元が複数で、さらにそれぞれの派遣元から複数の派遣先に就業した場合は、派遣元ごとにわかりやすくまとめるのが基本です。
今回のように派遣元も派遣先も複数にわたる場合は特にスペースを取ってしまいがちです。
可能な限りコンパクトにまとめることを心がけましょう。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
2024 | 1 | 株式会社ジャパンサポート(派遣元の会社名)に派遣登録 |
2 | 株式会社A社に経理事務として派遣 (2024年 12月まで) | |
6 | 派遣期間満了につき退職 | |
7 | 派遣会社Bに派遣登録 | |
7 | 株式会社C社に一般事務として派遣 (2024年 6月まで) | |
2025 | 3 | 株式会社E社に一般事務として派遣 (2025年 6月まで) |
12 | 派遣期間満了につき退職 |
もし派遣元、派遣先を書ききれない場合は下記のようにまとめるのも1つです。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
2024 | 1 | 株式会社ジャパンサポート(派遣元の会社名)に派遣登録 |
(一般事務、営業事務、経理事務) ※詳細は「職務経歴書」に記載しております |
短期・単発などの派遣経験が多い場合
短期・単発の派遣アルバイトを繰り返していた場合は、履歴書に記載する必要はありません。
ただし、「ブランクがある」と思われる可能性がありまので、履歴書には、「派遣元」「派遣先」の会社名に加え、
「短期・単発の○○(仕事内容)を複数経験」と書くようにしましょう。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
2024 | 1 | 株式会社ジャパンサポート(派遣元の会社名)に派遣登録 |
株式会社A社ににて、短期・単発のデータ入力スタッフイベントスタッフ | ||
などを複数回経験 ※詳細は「職務経歴書」に記載しております | ||
現在に至る |
派遣社員から直接雇用になった場合
派遣法3年ルールに基づき、基本的に派遣社員は同じ事業所で3年を超えて働くことはできません。
詳しくは、こちらの記事もチェック→いまだから知っておきたい!派遣法3年ルールについて徹底解説
3年ルールにより、3年勤務後に直接雇用の正社員・契約社員となるケースがあります。
こういった場合は、まず派遣社員として勤務した情報、担当した業務をそれぞれ記載し、次の行で「正社員(契約社員)として入社」と書きましょう。
現在も勤務している場合は、最後に「現在に至る」と書きます。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
2024 | 1 | 株式会社ジャパンサポート(派遣元の会社名)に派遣登録 |
株式会社A社に経理事務として派遣 (2024年 12月まで) | ||
2025 | 1 | 派遣期間満了につき退職 |
株式会社A社に正社員として入社(経理事務の担当) | ||
現在に至る |
派遣の職歴をうまくアピールするコツ
アピールしたい内容に合わせて書き方を工夫する
多彩な経験やスキルを持つ方は、応募する企業の業務内容に合わせたアピールが重要です。
例えば、営業職に応募する場合、以前の営業経験やその業務内容を履歴書の職歴欄に詳細に記述していきましょう。
さらに、業務内容を拡大した、新規開拓に貢献したなど、アピールできる具体的な成果がある場合は、その実績を具体的に履歴書に記載しましょう。
履歴書に書ききれない情報は別途、職務経歴書に詳細に記載し、アピールしていくことが大切です。
派遣の履歴書の書き方と並行して、職務経歴書の活用も考えましょう。
経験・スキルをうまく伝える
職歴ごとに業務内容を記入し、経験や身に付けたスキルをアピールすると良いでしょう。
「営業事務として資料・見積書を作成。顧客管理の補佐を担当」「経理として決算業務・株主総会の資料作成を担当」など、具体的かつ端的に書きましょう。
ただし、情報量が多くなるようであれば、詳細は職務経歴書に書きましょう。 内容も見やすくまた、アピールポイントを職務経歴書でまとめることができます。
「正社員」を目指す場合は志望動機を
派遣社員から正社員への採用は、正社員から正社員への採用よりもハードルが高くなります。
派遣の働き方は、期間限定であり、責任範囲もある程度決まっています。
働き方についても、勤務地や勤務時間、時給・仕事内容など、自分の希望に合う派遣先を選択できます。
正社員の場合は、長期的に働き、自ら業務領域や責任範囲を広げながら活躍・貢献することが求められます。
また、仕事内容や働き方において自分の希望が全て通ることはないですが、雇用が守られ派遣社員よりも安定はします。
こうした違いによるミスマッチを防ぐため、正社員を募集する際には、正社員経験があり、その働き方を理解している人物や、正社員として働く心構えをきちんと持っている人物を評価する傾向があります。
志望動機では、「待遇などの条件面以外で、その企業にどのような魅力を感じたのか」「今後どのように成長していきたいか」などをしっかり書き、熱意と意欲、向上心を伝えましょう。
なお、派遣元に登録する際は、志望動機は必要ありません。
履歴書を上手に書くためのポイント
明るい言葉を選ぶ
履歴書の文面から持ち味やアピールポイントが伝わるよう、「積極的」「社交的」「柔軟性がある」「ポジティブ」など、明るく前向きな言葉を選んで使うようにしましょう。
また、希望職種に合わせて「謙虚」「記帳面」「面倒見がよい」「忍耐強い」「飲みこみが早い」「粘り強い」など適性があることをアピールできる言葉を選びましょう。
うそを書かない
履歴書は、あなたの学歴、職歴、資格などの人事情報を正しく伝えるために使われるものです。
そのため、履歴書に記載する事項は、事実に基づいていなくてはなりません。
たとえば、中退を卒業と書いたり、実際に働いた期間を長くまたは短く誤魔化したりするなど、事実に反して経歴のねつ造した場合は経歴詐称になります。
また、身に付けてないスキルや取得していない資格を履歴書に記載するのも詐称となりますので、注意が必要です。
よくあるQ&A
ブランクがある場合はどう記載したら良い?
履歴書にブランクの期間がある場合、採用担当者がその理由を尋ねてくる可能性があります。 育児や介護などといったきちんとした理由がある場合は、あらかじめその旨を履歴書に記載しておくと良いでしょう。
【例】
20XX 年○月 出産のため退職
20XX年○月 家族の介護のため退職
守秘義務のある派遣先はどう書く?
派遣先によっては、派遣会社と秘密保持(守秘義務)契約を結んでいることがあり、業務内容や派遣先の企業名を明かせない場合があります。
このような場合、具体的な企業名の表記は避ける必要があります。その場合は、「大手自動車メーカー」「大手食品会社」など、おおまかな情報のみ記入すると良いでしょう。
アルバイト経験は書いた方が良い?
アルバイトの経験は基本的には職歴欄に記入不要です。
ただし、応募する企業の仕事内容とアルバイトの仕事内容が近い場合は、職歴欄にアルバイト経験と業務内容を記入して、経験をアピールしましょう。
手書きとパソコンどちらで作成?
最近は、パソコンで作成した履歴書も増えてきました。
なので、手書き、パソコン、どちらの様式の履歴書でも採用結果には影響することは基本的にはありません。文字に自信がある方は手書きでアピールする、もしくはパソコン作成でPC操作に問題ないことをアピールするなど、ご自身の好きな方を選択してください。
まとめ
以上、派遣の履歴書の書き方でした。
一般的な転職活動とは異なる部分もあるため、派遣元や派遣先が多くなってくると各内容が多くなりますので、改めて確認してから記載を始めることをおすすめします。
正社員の職歴がある場合はその詳細を優先して履歴書に記載し、派遣会社としての職歴はシンプルにまとめるのもポイント。
しっかりと派遣の履歴書の書き方を理解して、受け取った企業側がわかりやすい履歴書作成を行うことを、心がけましょう。